生活習慣病

生活習慣病のイメージ

生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義することが適切と言われています。具体的な生活習慣病には、主に以下のような病気があり、日本人の健康に大きく影響するものが多く含まれています。

  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高血圧症
  • がん
  • 脳卒中
  • 心臓病
  • 高尿酸血症
 など
食習慣
インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高尿酸血症、循環器病(先天性のものを除く)、大腸がん(家族性のものを除く)、歯周病等運動習慣、インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症(家族性のものを除く)、高血圧症等
喫煙
肺扁平上皮がん、循環器病(先天性のものを除く)、慢性気管支炎、肺気腫、歯周病等
飲酒
アルコール性肝疾患等

代表的な生活習慣病について以下に説明いたします。

糖尿病

糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖の値)が慢性的に高くなる病気のことです。 私たちは食事をすると消化管を通じてブドウ糖が取り込まれ、血糖値が上昇します。そして、それが感知されると膵臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌され、ブドウ糖は細胞に取り込まれ、脳や体のエネルギー源となっていきます。これによって、血糖値は再び元の数値に戻るようになります。ただ何らかの原因で、インスリンがほぼ分泌されない、分泌はしているが不足している、あるいは量が十分でも効きが悪い(インスリン抵抗性)となると、次第にブドウ糖は血液中でダブつきます。これによって基準とされる数値を超えて、慢性的に血糖値が上昇したままとなると糖尿病と診断されます。
このダブついた状態(高血糖)が長期間に及ぶと全身の血管に障害が起こるようになり、重症化すると失明・腎不全・足の切断などQOL(生活の質)を大きく低減させるような合併症や心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすことがあります。日本では1,000万人ほどが糖尿病に罹患していると推定されており、注意すべき病気のひとつです。

糖尿病の種類

糖尿病の種類は大きく4つに分類されます。ひとつは1型糖尿病です。これは主に自己免疫反応によって、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリンが体内でほぼ分泌されていない状態です。小児や若い世代の患者数が多いことから、かつては若年性糖尿病と呼ばれていました。 また2型糖尿病は、日本人の全糖尿病患者様の9割以上の方がいるとされるタイプで、遺伝的要因をはじめ、加齢・過食・運動不足・過剰なストレスなどが組み合わさるなどして発症します。この場合、膵臓が疲弊している状態で、インスリンの分泌量が足りない、あるいはインスリン抵抗性がみられるようになります。中高年世代の患者様が多いのも特徴です。
上記以外では、別の病気(内分泌疾患、膵炎、肝臓病 等)や薬剤(ステロイド 等)の影響、遺伝子異常によって引き起こされる糖尿病があります。さらに妊娠中の女性の胎盤から分泌されるホルモンはインスリンの効きを悪くさせることから、血糖値が慢性的に上昇しやすくなります。これを妊娠糖尿病と言います。

主な症状

発症初期は殆どなく、進行すると、頻尿・多尿・喉の渇き・痩せ・全身の倦怠感などの症状がみられるようになります。それでも放置が続けば、やがて血管障害を引き起こすようになります。とくに細小血管が集中する網膜・腎臓・末梢神経でみられやすいことから、これらは糖尿病三大合併症(糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害)と呼ばれています。さらに太い血管では、動脈硬化を促進させるので、脳血管障害(脳梗塞 等)や心筋梗塞などを併発するリスクも高くなります。

検査

糖尿病の診断をつけるためには血液検査を行い、血糖値やHbA1cの数値を確認していきます。

治療

生活指導

生活習慣の乱れが発症に大きく関与している2型糖尿病では、第一に原因となる食生活や運動習慣の乱れを正す生活指導が行われます。発見された時点で早急な治療を要する重症な場合を除き、1~2か月ほど生活改善を行ったうえで薬物療法など次のステップの治療に進むか否かを判断するのが一般的です。

薬物治療

薬物治療生活改善などを行っても血糖値が十分に下がらない場合は、血糖値を下げる薬による薬物療法が行われます。血糖値を下げる薬にはいくつかの種類の飲み薬や注射薬(GLP-1受容体作動薬)があり、自身に合うタイプや量を決めていきます。

インスリン治療

薬物療法の効果が十分にない2型糖尿病、インスリンの分泌量が大幅に低下している1型糖尿病、胎児への影響により血糖値を下げる薬を使用できない妊娠糖尿病では、人工的にインスリンを補う“インスリン治療”が行われます。インスリンの投与は“自己注射”によって行われ、治療のほかにも厳密な食事管理なども必要です。

脂質異常症

血液中に含まれる脂質のうち、LDL(悪玉)コレステロールと中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に増えている、あるいはHDL(善玉)コレステロールが必要以上に減少している状態にあると脂質異常症と診断されます。診断をつけるためには、血液検査(空腹時採血)を行います。具体的な診断基準については、以下の表の通りで3つのタイプに分けられます。

脂質異常症の診断基準

高LDLコレステロール血症
LDLコレステロール値が140㎎ ⁄ dl以上
高トリグリセライド(中性脂肪)血症
トリグリセライド値が150㎎ ⁄ dl以上
低HDLコレステロール血症
HDLコレステロール値が40㎎ ⁄ dl未満

症状

同疾患は自覚症状が出にくいため、多くの患者様は健康診断の結果を見て、初めて気づくようになります。症状がないことから放置を続けることも少なく、そのまま治療・予防をしなければ、どのタイプであっても血管内でLDLコレステロールを蓄積させやすくなると考えられています。動脈硬化を促進させ、さらに放置を続けると血流の悪化や血管閉塞がみられ、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・脳血管障害(脳梗塞・脳出血 等)・閉塞性動脈硬化症など重篤な合併症を引き起こすこともあるので要注意です。

原因

脂質異常症の原因ですが、原発性脂質異常症と二次性脂質異常症に分類されます。前者は、遺伝的要因によって発症する脂質異常症で、家族性高コレステロール血症の患者様等が含まれます。また後者は、何らかの病気や薬剤の影響等によって発症する脂質異常症です。例えば、糖尿病や甲状腺機能低下症、腎疾患(ネフローゼ症候群・慢性腎不全 等)などの病気に罹患している、薬剤(ステロイド・利尿薬 等)の使用・肥満・多量の飲酒といったものが挙げられます。

治療について

脂質異常症と診断された患者様は、どのタイプであっても血液中に含まれるLDLコレステロールの数値を下げる必要があります。そのためには、生活習慣の改善(食事療法・運動療法)を行います。
日頃の食生活の面では、コレステロールを多く含む食品(レバー・卵黄・魚卵・バター等の乳製品 など)や油がたくさん使われる料理は避けます。また食物繊維を多く含む食品(野菜・きのこ・海藻類 等)は、コレステロールを蓄積させない効果があるので積極的にとります。このほか、高トリグリセライド血症の患者様は、糖分の多い飲食、アルコールも控えてください。また運動をすることは、HDLコレステロールを増やし、トリグリセライドを減少させる効果があります。この場合、ハードな運動量は必要ありませんが、中強度の有酸素運動(ウオーキング・サイクリング・水泳 等)を1日30分以上、可能であれば毎日行うようにしてください。 それでもLDLコレステロールの数値がうまく下がらないのであれば、一緒に薬物療法も開始します。この場合、スタチン系の薬剤(LDLコレステロールを下げる効果がある)やフィブラード系薬剤(中性脂肪を下げる効果がある)などが用いられます。

高血圧症

心臓から各器官へと血液が流れていく際、血管壁に加わる圧力のことを血圧と言います。
高血圧症(高血圧)とは、年齢や合併症によって基準は異なりますが、一般的には計測した収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の状態を指します。
高血圧が持続することで動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞が引き起こされたり、心臓の機能が低下して心不全となったりするため注意が必要です。
発症の原因については、これといった基礎疾患が見当たらず、原因をはっきり特定できない本態性高血圧、何らかの病気(腎性高血圧・原発性アルドステロン症・クッシング症候群・褐色細胞腫 等)に罹患している、あるいは薬剤の影響で発症する二次性高血圧に分けられます。 なお日本人の全高血圧患者様の8~9割の方は、本態性高血圧によるものです。この場合、高血圧になりやすい体質であること、不摂生な生活習慣(肥満・塩分の過剰摂取・喫煙・多量の飲酒・過剰なストレス 等)などがきっかけとなって発症していきます。
慢性的に血圧が高くなることによって自覚症状がみられることは少なく、無自覚のまま病状を進行する事があります。高血圧の状態になると心臓は血液を送るごとに余計な負荷がかかり、血管壁は常にダメージを受け続けます。これが動脈硬化をより促進させ、さらに放置が続けば、血流悪化・血管の閉塞など合併し、脳血管障害(脳梗塞 等)、腎臓病(腎硬化症・腎不全 等)、心臓病(心筋梗塞・心肥大・心不全 等)など重篤な合併症を発症することもあります。このような状態にならないためにも、定期的に血圧を測定し、数値が高いことに気づいたら、一度当クリニックをご受診ください。

治療について

高血圧との診断を受けると直ちに治療が開始されます。その目的は血圧をコントロールし、重篤な合併症(脳梗塞・心筋梗塞・腎硬化症 等)を防ぐことにあります。薬物療法にあわせて、生活習慣の見直し(食事療法・運動療法)を行なっていきます。
食事療法(食生活)に関しては、一番大切なのは食事での減塩です。1日の塩分摂取量を6g未満とします。日本人の1日の平均塩分摂取量は10g程度なので、なかなか大変ですが、味付けを工夫するなどして厳守します。また体内の塩分を体外へ排出しやすくするためにカリウム成分を多く含む野菜や果物を積極的にとります。また栄養バランスのとれた食生活も心がけます。このほか、肥満は心臓に負担をかけるので、その場合は減量も必要です。
運動に関しては、ハードな量であれば逆に血圧を上昇させてしまいます。そのため、運動を始める際は、あらかじめ医師に相談してください。内容としては、中強度の有酸素運動(軽度なジョギング・自転車 等)を1日30分程度行うようにします。できるだけ毎日実践するのが良いとされています。
なお上記の対策では、血圧のコントロールが十分でないと医師が判断すれば、併行して薬物療法も行われます。種類としては、ARB・ACE阻害薬・カルシウム拮抗薬・利尿薬・β遮断薬などがありますが、患者様の血圧の状態によって、1種類だけでなく、いくつかの降圧薬を組み合わせることもあります。

診療内容
一般内科、消化器内科、外科、上部内視鏡(食道・胃)、 下部内視鏡(大腸)
院長
𠮷野 正晃
住所
〒135-0016
東京都江東区東陽3-3-9 メディカルモール木場3F
最寄駅
東京メトロ東西線「木場駅」から徒歩2
東京メトロ東西線「東陽町駅」から徒歩10
FAX
03-6666-3272
平日
胃カメラ検査…午前
大腸カメラ検査…14:00~15:00
土曜日
胃カメラ検査・大腸カメラ検査…12:30~【内視鏡検査は要予約です】
休診日…火・日・祝
診療時間 日祝
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